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2020年12月 1日 (火)

Apsidal motion のある RU Monocerotis

日本変光星研究会会誌「変光星」に投稿した物です。

Apsidal motion のある RU Monocerotis

はじめに

いっかくじゅう座RU(RU Mon)は分離型の連星で古くから知られている食連星です。公転周期は約3.58日です。また、近星点移動のある典型的な例と言う事が一世紀近い観測から分かっています。

1905年にL.P.Ceraskajaによって変光が発見され1929年にはDubiagoとMartynovによって近星点移動が検出されました。また、おおよその周期や離心率(約0.4)とも見積もっています。

分光は1945年にStruveが行っています。最初のUBV光電測光は、Mount Stromlo ObservatoryのMartynovによって行われました。それまでは写真観測でした。第三体も発見されています。

MartynovとKhaliullinaは1982年から1984年までの分光観測からK1+K2 = 292 km/s の視線速度を測定しています。それらから 質量M1=3.75Msol,M2=3.59Msol、半径r1=2.53Rsol, r2=2.45Rsolを得ています。第三体はM3≒2.2Msolです。

主極小と副極小

最初の光電測光はMartynovによって行われました。その光度曲線の極小部分を見てみます。

202012011 

光度曲線を見ると主極小の食継続時間よりも副極小の方が長い時間、食を起こしています。これは主極小の方が副極小よりも公転の速度が速い事を意味しています。ゆっくりと公転していれば、それだけ長い時間、食が継続されますが、公転速度が速いと食は直ぐに終わってしまいます。

このような現象は連星の軌道が楕円軌道だと起こります。観測によって軌道の離心率が約0.4と分かっています。

細かく見るとRU Monの離心率はe=0.396±0.005とされています。さらに、Martynov & Khaliullina (1986)では質量M1=3.75Msol,M2=3.59Msol、半径r1=2.53Rsol, r2=2.45Rsolで軌道長半径は19.14Rsolとしています。この値で公転面を上から眺めてみます。

202012012 Rumon_gif_ani 

図-2はRU Monの公転のようすです。公転面を上から見ていますので食は起こしません。位相は左から0.0, 0.2, 0.4, 0.6, 0.8です。ケプラー運動をしていますので成分星間の距離が離れるとゆっくり運動し、近づくと早く運動します。図は位相を等間隔にしています。ゆっくりと運動している時間の方が長いので両星が遠い図が多くなります。

この公転面を横から見ると食を起こします。主極小が近星点付近、副極小が遠星点付近の場合は図-1のように主極小の食継続時間が短くなり、副極小の食継続時間が長くなります。

副極小の位相

次はRU Monの光度曲線を見てみます。今までは主極小と副極小の食継続時間が違う部分に注目してきましたが、ここでは副極小の位相を見てみます。

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主極小の位相が0になるように光度曲線を描いて、年ごとの副極小の位相を調べると副極小の位相が0.5に無く、徐々に位相が変わってゆく様子が見えます。RU Monが楕円軌道である事は主極小と副極小の食継続時間が異なることからわかりました。そこで、楕円軌道の長軸が固定されず回転していたらどうなるでしょうか?

楕円軌道でも長軸が固定されていると副極小の位相は変化しません。ところが長軸が回転していると回転方向によって副極小が早まったり遅くなったりします。RU MonはApsidal motionと言う楕円軌道の長軸が回転している連星で主極小は公転と長軸回転が合成された会合周期で食が起きて、副極小は位相0.5に無く、徐々に位相が変化する食を起こす食連星となって観測されます。

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食の予報

RU Monの極小時刻のO-Cを見てみます。図-5はGCVSの要素で作ったO-Cです。

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主極小の予報式は min=2441743.1947+3.584749xE (GCVS) です。この周期が地球方向との会合周期と一致していれば主極小のO-Cは zeroになりますが、グラフを見ると傾いています。それ以外に直線ではなく波を打っているように見えます。この波は第三体の影響によるものです。

副極小のO-CはApsidal motionが加わって主極小のO-Cよりも傾きが大きくなっています。こちらも第三体の影響で波打っています。

この観測の全てを使って予報式を作るには第三体のLTE(Light Time Effect)を考慮する必要がありリニアな予報式では再現出来ません。ここでは直近の予報のみを考える事にして3000サイクル以降のO-Cから新しい極小予報式を作ってみます。

202012016 202012017 

3000サイクル以降のO-Cが直線的に見えるので直線に近似してGCVSの予報式を主極小min(1)と副極小min(2)で別々に補正して作成しました。

min(1)=2441743.3108+3.584695746xE (K.Nagai, 2020)
min(2)=2441745.1787+3.584554448xE (K.Nagai, 2020)

202012018 202012019 

2020年の冬は4800~4900サイクル付近です。新しい予報式での4800サイクルのO-Cを見ると0付近になっていますのでこの新しい式で予報すれば概ね正しく予報が出来そうです。

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表-1は新しい極小推算式で予報した主極小と副極小です。リニアな推算式は適当ではありませんので三か月間に限定して予報しています。また、12月から2月はRU Monの観測しやすいシーズンです。

星図

ステラナビゲータver9でRU Monの位置を見てみましょう。おおいぬ座の北にあります。探しやすいと思います。楕円軌道で近星点移動があり、しかも第三体のある食連星RU Monを観測してみませんか?

2020120111 2020120112 

左はステラナビゲータで作りました。右はAAVSO VSPです。

Reference
D.Ya.Martynov, 1966SvA 9 939M
D.Ya.Martynov, 1974SvA 18 62M
D.Ya.Martynov and A.I.Khaliullina, 1986SvA 30 174M
MarekWolf1, Roger Diethelm2, and Lenka Sarounov, 1999A+A 345 553W
M.Wolf et. al, 2017 ACTA ASTRONOMICA 67 3 4

※このblogでは図や表の解説を省略しています。

※全て含んだ物をPDFで読むには日本変光星研究会の会員専用ページからダウンロード出来ます。

※日本変光星研究会への入会はホームページをご覧願います。会費は無料です。
http://ananscience.jp/variablestar/index.html

 

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